ぱとりっくへのお題
てれさ : ①赤色 ②おむつ ③走る
ぱとりっく
パトラと会ったのは隆が無理やり入れた老人ホームだった
「親父、いい加減にしてくれよ。直美もいい加減、親父の介護はしたくないって言ってるんだよ。この間だって、懐中電灯をお尻に突っ込んでうめいてたって言うじゃないか」
「ふざけるな!!だから何だってんだ!!俺の家だ!俺がこの家を建てるためにどれだけ社畜として働いてきたか!お前はわっかとらん!!」
「お前こそふざけんなよ!!もう法律上は俺の家なんだよ!いつまでも臭い加齢臭巻き散らかしてないで老人ホームに入りやがれ!!」
俺の息子は若い女房に洗脳されて、この年老いた血の繋がった親父を追い出そうと懸命だった
今考えると花子の臨終の際にも現れなかったこんな息子夫婦の口車に乗せられて、いろいろな手続きを任せたのいけなかった
俺は仕方なく、まだ70もそこそこなのに老人ホームにぶち込まれる塩梅になってしまった
あのしみったれな夫婦の最後の見栄なのか、老人ホームはなかなか良い個室をあてがわれた
俺はバカみたいなグループワークなんか無視して、飯を食うだけだった
個室にはトイレがあって、自分でトイレも出来た
気分はもう囚人だった
それでも俺には楽しみがあった
それは本だ
こんな閉鎖的な空間でも俺の持ってきた本を読めるのは最高の娯楽だった
だが、最近は老眼でなかなか読む力が足りない
読み続けることが難しくなってきた
なんという体たらく!!
俺は根性一発入れるために少し外に散歩に出ようと思った
すると、近くに窓から遠くを眺めてる老婆がいた
いや。俺も老人だから、同い年くらいの婆さんだ
目が青く、どこまでも吸い込まれそうな暗い夜空を、その婆さんはじっと眺めていた
俺はその婆さんの後ろ通り過ぎようとした
すると
「自由が丘に行きたいわ」
婆さんが呟いた
俺は自分に話しかけられたのかわからくて、少し立ち止まっていると、その婆さんが急に後ろを振り返り
俺と目が合った
「あら」
と言って見開いた目は青かった
そしてその一瞬、俺は信じられないことに死んだ女房の花子を思い出した
どこも似てないのに雰囲気がそんな感じだったのだ
そして、彼女は
今日はここまで2018/08/02
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